役者として

一人芝居、語りへ

私の仕事の中心は大劇場、いわゆる商業演劇と云われる座長芝居でした。これ迄、萬屋錦之介・
北大路欣也・田村正和さん、それに、吉幾三さん他・歌手の方の舞台にも多く出させて貰いました。
大劇場の広い空間を埋める見た目も鮮やかな舞台、それに出られる我々の気持ちも高揚し、
スポットを浴びて芝居する時なぞ堪らないものがあります。
しかし、名前のない私には脇の役処が多かったのです。

では、役者として出番の少ない面をどうカバーするのか?
又、ドラマと関わりのない役の時どうアピールするのか?
役の存在感を示すにはどうしたらいいのか?

その為には、より大きなキャリアを積むしかないと考えました。
演じるという一面性だけではない、あらゆる角度から芝居を見詰める事が出来れば、
演じる自分の表現が深くなり、存在感も増すのではないかと思ったのです。
その事を経験するには、自分で芝居を創るしかありません。

そして二十数年前でした。
組織をつくり、自主公演を続けました。又、再編成したり、ある時は若者を中心の集団を作り、
演出を学んだ時期もありました。
しかし、人と人との関わりに疲れ独りになった時、悩み葛藤しました。
今後、役者としてどうしたら良いのか・・・・・。

幸いにも私には、二十数年出演させて貰った故萬屋錦之介(中村錦之助)さんから学んだ舞台のノウハウがあります。
誰彼が持っているものではありません。それを活かすには、小さな空間で張り詰めた緊張感のある表現の場が

最適ではないか。それも、出来れば一人で・・・・。
一人で? ・・・・・・そう、一人で!

こうして、一人芝居へ、そして語りへと、 演じる場を創り、今日に至っています。